シルクの可能性―医療現場での活躍とは

シルクのイメージは“高級な生地”だったり、こちらのサイトをご覧の方であれば“スキンケアやコスメ”での活躍が印象的かもしれませんね。そんな数あるシルクのイメージの中でも、今回フューチャーしたいのはずばり“医療”でのシルクの活躍です。というのもシルクに対して医療での活躍がどんどん注目されており、シルクは今や多くの方を救い、それでいてさらに無くてはならない存在になっているのをご存知でしょうか?

シルクが活躍する医療現場①手術の縫合糸

外科手術に使われる縫合糸。これには化学繊維やステンレスワイヤ等いくつか種類があるのですが、シルクでできた縫合糸は昔から長く用いられています。強度が強いこともありますが、何よりも天然繊維だからこそ身体にも安全。拒絶反応や炎症も個人差はあるようですが起こしにくいと言われているようです。

 

シルクが活躍する医療現場②再生医療用の材料

シルクで作られた材料は、再生医療で細胞の足場になるとして、再生医療の現場で注目を集めていると言います。研究は日夜進んでおり、中でも関節の軟骨の再生に期待がかかっているんだとか。具体的にいうと、シルクで作ったスポンジに軟骨細胞を入れ、それを軟骨が損傷した箇所に当てるというもの。これにより軟骨組織が再生されると考えられているんですね。シルクには細胞を活性化する働きが期待できると言われていますので、様々な個所での活用が期待できますね。
(参考:カイコは医療用材料の生産工場 ~シルクで実現する再生医療~http://yumenavi.info/lecture.aspx?GNKCD=g007673)

 

シルクが活躍する医療現場③患者さんのケアアイテム

前述の1番と2番はどちらかというとお医者様側での活用でした。続いてご紹介するのは、患者さんにとってのシルクの活用です。ケアアイテムとは具体的にいうと、例えば医療用の帽子などがこれに当たります。

 

【医療用帽子とは?】
・抗がん剤による治療で脱毛した頭皮や手術後の頭皮、アトピー性皮膚炎などで頭皮をカバーしたい方向けに作られた帽子
・頭皮に湿疹やかゆみを感じやすい方も安心して使える素材・つくりになっている。
・肌あたりもやさしいため、かぶり心地がよい。

治療中や治療後の場合は特に、お肌は敏感に傾くことが多いといいます。帽子に多く使われる繊維としてあげられるのはニットですが、ニットだとお肌に合わないことも多く、ちくちくとしたかゆみや痛みを感じやすいんだとか。そうなってしまうとお肌の刺激にもなります。又、寝ている間などに無意識に頭皮をかいてしまえば、思わぬ二次健康被害につながってしまう可能性もあるんだと言います。だからこそ、ここでシルクが登場するという訳なんです。

【シルクが医療用帽子の素材に適しているわけとは?】

① シルクはお肌にやさしい素材であるため。
…実はシルクは天然繊維の中でも一番細いと言われています。そのため、摩擦がほとんどないので、肌あたりがあれだけ優しいんですね。又、肌あたりの良さにはもう一つ理由があります。それはシルクのたんぱく質が、人間のお肌とほぼ同じ性質だからだと言います。それゆえに、私たちの皮膚とも相性が抜群なんですよ。

② 蒸れにくい素材であるため。
…シルクは吸湿、放湿、速乾の機能を持ち合わせています。綿と比較してみるとなんと1.5倍の高さ。勿論、放湿性とはいっても感想を引き起こすわけではないのでご安心を。吸湿の働きも同時にあるため、適切な湿度を保ってくれまる。乾燥によるお肌トラブルも心配ご無用です。

③ 暖かさと涼しさを両立させてくれるため。
…シルクは暖かい場所では涼しさを実現し、逆に涼しい場所では温かさを実現してくれる優れもの。年中使い勝手がいい素材です。

④ 消臭効果が期待できるため。
…シルクには消臭の働きも期待できます。治療中でなかなか頭皮を洗うことができず、頭皮の匂いが気になりやすいという方にもオススメのようです。

⑤ 紫外線カットの働きも期待できる為。
…シルクには紫外線からお肌を守る働きがあります。UV-B波だけではなく、UV-C波もしっかりカット。そのカット率はなんと約90%前後とも言われています。治療によって毛髪がない頭皮やアトピー性皮膚炎を起こしている頭皮にとって、紫外線は大敵です。炎症を起こしやすい敏感な状態だからこそ、うっかり紫外線を浴びてしまえば思わぬお肌トラブルを引き起こしてしまいかねません。だからこそ、シルク製の帽子をかぶることで頭皮をやさしく紫外線から守ってあげる必要があるんですね。

ちなみにシルクは他にも、医療用のサポーターなどにも活用されているようです。サポーターは特に、ひじやひざなど関節部分に使用されることも多いため、蒸れやすくにおいも気になりがちな場所。シルクが大活躍するのは想像できますよね。

 

シルクが活躍する医療現場④人工血管

最後にご紹介するのは、何と人工血管で活躍するシルクです。シルクの繊維としての強さは、前述の手術の縫合糸の項目でもお話ししました。そのメリットを生かしているもう一つの医療現場での活躍が、人工血管なんですね。このシルクでの人工血管の第一人者が
東京農工大学の朝倉哲郎名誉教授です。世界で初めてシルク製の人工血管を作りだすことに成功した方で、なんと朝倉名誉教授は30年以上もの間シルクの研究を重ねていらっしゃいます。通常、私たちの血管にはとても強い圧力がかかっています。この強い圧力に耐えられるのが、シルクで出来た人工血管なんだとか。それに加えて、シルク製の人工血管は体内で自然に分解され、その後何と自分自身の細胞で新しい血管を作りだす可能性があると言われているんですね。

 

シルクの持つ力は無限大

いかがでしたか?単なるお洋服の素材だけではもったいないシルク。その実力は日々研究を重ねられており、今回ご紹介したように医療現場をはじめ、化粧品や健康食品等様々な分野で日々発展し続けているんですね。繊維の女王として6000年以上も前から利用されているシルクの進化は、まだまだ止まりそうにありません。