私たちのお肌に存在する常在菌について、先のコラムでは「表皮ブドウ球菌」と「アクネ桿菌」の働きをご紹介しました。
それでは続いて今回は、お肌の常在菌としてこの2つと同じくらい有名な「黄色ブドウ球菌」についてみていきましょう。
黄色ブドウ球菌って悪玉菌?!
「黄色ブドウ球菌」は、その名前から分かる通り「表皮ブドウ球菌」と同じ「ブドウ球菌」と呼ばれる菌の一種です。
この菌は「表皮ブドウ球菌」と同様に皮膚の角質の隙間等に生息している他、腸などの消化管や鼻の粘膜といった私たちの身体全身に常在する非常にポピュラーな菌となります。
しかし「美肌菌」とも呼ばれる「表皮ブドウ球菌」とは反対に、残念ながら「黄色ブドウ球菌」は身体にとっての毒素を生成してしまうため一般的に「悪玉菌」といわれています。
その毒性は特に食品内で増殖をしてしまった際に非常に強くなるので、夏場の「食中毒」の原因菌となることでも有名ですね。
もちろんお肌にとっても様々なトラブルの原因となり、肌荒れや特に「とびひ」の要因となる他に、近年では「アトピー性皮膚炎」の発症原因の1つであることも分かってきています。
そのため、美しく健康なお肌を保つためには、この「黄色ブドウ球菌」が増えすぎないようなケアをしてあげることが大切となります。
「黄色ブドウ球菌」の働きが活発になるのは、餌となる汚れが溜まってしまった時や、逆に石鹸による洗顔を行いすぎてお肌がアルカリ性に傾いてしまった時、また「ひっかき傷」によっても菌が増殖してしまうということが分かっています。
石鹸を使った洗顔はなるべく1日に1回、お肌に傷をつけないような『丁寧な優しい洗顔』を心がけましょうね。
黄色ブドウ球菌が肌を外敵から守ってくれる!
また同じ「ブドウ球菌」である「表皮ブドウ球菌」には、この「黄色ブドウ球菌」の増殖を抑えるという働きがあります。
そのため「表皮ブドウ球菌」にダメージを与えてしまう『熱いお湯での洗顔』や『強くこする洗顔』、『アルコールや保存料が多く含まれたスキンケア製品』をなるべく避けることで、結果として悪玉菌の少ない健やかなお肌を手に入れることが出来ますよ。
お肌にとってあまり嬉しくない「黄色ブドウ球菌」、消毒液によって殺菌することは出来ますが、そうすると逆に『お肌のバリア機能』を下げることになってしまいます。
それは「表皮ブドウ球菌」など良い菌も死んでしまうのは勿論、常在菌は「悪玉菌」も含めた『多種多様なフローラ』を形成することで免疫力を高め、外的刺激からお肌を守ってくれているから。
最も大切なのは「常在菌のバランスを整える」こと、正しいスキンケアで健康的な美肌を保ちましょう。