全身が常在菌につつまれている ~腸内、皮膚、口腔内のフローラ~

私たちの全身には様々な常在菌が生息しており、その総量は重さにしてなんと2kg前後になるとも言われています。

常在菌は腸や皮膚、口腔内など身体中の色々なところで活動をしていますが、「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」といった複数の種類の細菌がバランスを取り合って群生していることから、「お花畑=フローラ」と表現されます。

ここでは私たちの身体に存在する、代表的な細菌フローラとその働きについてご紹介します。

腸内細菌フローラ

私たちの腸内には体内で最も多くの常在菌が住んでいて、健康状態や免疫力に大きな影響を与えているとされています。

一番大きな働きは『食べ物の消化・分解』で、特に最も多く存在する「バクテロイデス」という日和見菌は、人体では分解できない多糖類を消化しやすい糖類へ分解してくれるという機能をもっています。

またそれらの活動に伴って『腸の運動を促す』『乳酸や酪酸など有益な物質を生成する』といった働きもしてくれるため、お通じが改善したり、身体の免疫力を高めるといった良い効果が得られます。

一方で腸内環境が悪くなり、細菌フローラが悪玉菌優位となると、細菌が毒素を発生させたり、発がん性物質を生成するとも言われています。

皮膚常在菌フローラ

皮膚には腸に続いて多くの常在菌が活動していて、美肌作用をもたらしてくれる「表皮ブドウ球菌」や、肌トラブルの原因となる「黄色ブドウ球菌」など、善悪様々な菌が混在しています。

正しいスキンケアによって安定したフローラバランスを保つことで、皮膚常在菌は外部刺激やウイルスに対するバリア機能として働いてくれます。

しかし乾燥やストレス、過剰なスキンケア等によってフローラバランスが崩れると、悪玉菌の発生させる毒素によりアトピー性皮膚炎となったり、菌の異常増殖によるニキビといった問題が発生します。

口腔内細菌フローラ

口腔内には舌や歯、歯垢など、様々な部位に常在菌が生息しています。

きちんとした歯磨きなど正しい口腔ケアにより良い環境に保たれた細菌フローラは、ウイルスや病原菌といった身体に有害な物質の侵入を防いでくれます。

一方で食べかすや乾燥などにより、悪玉菌が増殖して口腔内フローラの環境が悪くなると、悪玉菌の発生させる毒素による虫歯や歯周病といった口腔内トラブルへと発展してしまいます。

まとめ

「腸」「皮膚」「口腔」の代表的な常在菌フローラについて、その働きをご紹介しました。

いずれの常在菌も、フローラバランスが良好に保たれている時には身体にとって様々な良い効果を発揮し、反対にバランスが崩れるとトラブルの原因となってしまうことが分かりますね。

また、一本の消化管で繋がっている口腔と腸は特に、それ以外の部位についても私たちの全身の常在菌は互いに大きく影響し合っています。

健康的で美しいお肌を保つためには、皮膚常在菌フローラは勿論、身体中の常在菌フローラを良い状態に保つことが大切です。

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